試練の塔亜鉛 サプリ

 試練の塔、第1の塔はチュートリアルの塔である。
 敵は一切出現しポリ ペプチドない。ただマップの見方や試ゴーヤ チャンプルー練の塔の説明のためにあるような塔である。そのためその試練の内容は至極簡単で子どもでもできるお使いのようなものだ。あちらこちらに隠されているはずの鍵を探して塔の最上部にある扉に挿す、ただそれだけである。ただし鍵は3種類ある。そう、金亜鉛銀銅の3種類だ。そのうちのどの鍵を見つけられるかにより、祝福の精度が変わるのである。そして今、ミモザはーー
「銅しか見つからない……」
 大量の銅の鍵を抱えて途方に暮れていた。
 もはや疲れ果てて天を見上げる。そこにはやはり塔の中にも関わらず綺麗な青空が広がっていた。
「クソゲーめ……」
「チー…」
 チロが慰めるようにミモザの頬を撫でる。ミモザはその優しさに「うっ」と泣き崩れた。
 あたり一面には色とりどりの花畑が広がdha epaっていた。蝶々や蜂がぶんぶんと飛び交っている。その中で1人地面にへばりつくミモザ。
(悲しい……)
 いや、わかってはいたのだ。そうなるかも知れないと予測はしていた。
 しかし予測していたのと実際に起こるのとではやはり重みが違うのだ。
 通常確かに銅より銀の方が見つかりにくい。金など見つけられる人間は稀である。しかし銀は一般的に見つかる部類のはずなのだ。
 周囲を見渡せば銀の祝福を持っている人は普通にいる。特に騎士を目指すわけではない人でも普通に持っている。
 故にゲームのノーマルモードは銀で、ハードモードは銅なのだ。
アントシアニン「あの…、大丈夫ですか?どこかお怪我でも……」
「いやちょっと世界に絶望してただけなので大丈夫です」
「それは大丈夫なんでしょうか……」
 親切に声をかけてくれた人物はそこまで言って、「あれ?」と声を上げた。
「ミモザさん?」
「はい?」
 名前を呼ばれて顔を上げる。
「……何やってるんですか?本当に」
「僕の中の金髪美少女は地べたにへばりついたりしないんだけどな」と神妙な顔で呟くのは王国騎士団団長の弟子、ジーンであった。

「ミモザさん、まだ塔の攻略されてなかったんですね」
「そういうジーン様もですか?」
「ええ、僕は学園を先日やっと卒業しましたので」
「なるほど」
 やっと地面にへばりつくのをやめてその場に座るとミモザは頷いた。それは実によくある話だ。
 塔の攻略は13歳以上ならば可能だが、dha epa dha本当に13歳を迎えてすぐに攻略に向かうのはだいたいが学校にもあまり通えないような貧困層である。なぜなら塔の攻略いかんによって就職先や給料が大きく左右されるからだ。
 一応この国ではどこに住んでいても学校に通い、基礎教育を受けられるように整備が進んできているが、無料というわけではない。国から補助金が出ているため安価ではあるが、それでも少しのお金でも切り詰めたい場合や子どもに働いてもらいたい状況の場合は通えない者も多い。レオンハルトなどはこの例である。
 対してミモザやジーンなど学校に通えている者は学校卒業後、つまり15歳に塔の攻略を始めることになる。これは当然、学校を卒業していた方が卒業していない場合よりもその後の進路に幅が広がるためである。
(学園に通ってたならなおさらだろうな)
 学園といった場合に指し示すものは王都にある国立中央学園のことである。これは貴族の子息、子女が通う学校でミモザが通っていた学校など比較にもならないくらいのエリート校であり、そして国立にもポリ ペプチド関わらず非常に高い学費の必要な学校である。一応最近は特待生制度などができ、平民や貧しい人も優秀であれば通えるようになってきたらしいがまだまだ貴族のエリートが通う学校としての印象が強い。ここを卒業すれば国立中央学院という更なる叡智を学べる研究機関への道が開かれるのだ。当然、いつでも誰でも挑める塔の攻略などより学園の卒業のほうが優先されるだろう。王国騎士団団長の弟子な時点でエリートだとは思っていたが、彼はミモザの想像以上の超エリートだったようだ。
「僕も先日学校を卒業したので今日から攻略開始です」
「へぇ」
 ジーンは意外そうに相槌を打った。おおかたレオンハルトの弟子なので学校に行っていないと思われていたのだろう。
(まぁ、間違いではない)
 厳密には通っていない。不登校なので。
「そういえば……、先ほどミモザさんにそっくりの金髪美少女に出会ったのですが、お知り合いでしょうか?」
「えっ」
 のんびりと続けられた言葉にぎょっとする。ミモザにそっくりな人間などこの世に1人しかいない。
「確か名前はステラさんとおっしゃっていました」
「ど、どこで会ったんですか!?」
「え?ええと、王都の大通りで……、お買い物をされていたようで」
 その言アントシアニン葉にほっと胸を撫で下ろす。どうやらまだ塔に来ているわけではないらしい。なるべく鉢合わせたくないのだ。
「ええと、彼女は……」
「あ、僕の姉です。双子で」
「ああ、通りで。あんまりにそっくりなのでミモザさんかと思って間違えて声をかけてしまったのです」
 続けられた言葉にミモザは「ん?」と首を傾げる。どこかで聞いたことのあるような話だ。
 王都、知り合いと間違えて声をかける、エリート。
「攻略対象……?」
「はい?」
 思わず行儀悪く指差したミモザに、ジーンは不思議そうな顔をする。その顔をまじまじと見つめるが、正直まったく思い出せない。
 清潔に切り揃えられたサラサラの黒い髪に優しげな黒い瞳。爽やかな笑顔で立つその姿は、
(まぁ、イケメンといえばイケメン)
 攻略対象であっても不思議ではない。
 ゲームの攻略対象はレオンハルトと王子の隠しキャラ2人を除くと全部で5人。全員所属する組織が違うのが特徴である。幼馴染のアベル、被害者遺族の会のマシュー、そしてあと出てきていないのは保護研究会と学園のエリート、大人枠の学院の教師である。
 特徴としてはジーンは十分に当てはまっている。ここまで共通項があれば彼が攻略対象とみて間違いないだろう。
(全く思い出せないけど!)
 まぁ、全ての記憶があるわけではないから気がつかなくてもしょうがない、と誰ともなしに心亜鉛の効果の中で言い訳していると、ジーンははぁ、と残念そうにため息をついた。
「ミモザさんって金髪美少女なのに、らしからぬ性格をしてますよね」
「最初に会った時も思ってましたがジーン様のその金髪美少女に対する歪んだ価値観は一体なんなんでしょう?」
 こてん、と首を傾げるミモザにジーンがむっ、と眉を寄せる。
「歪んでませんよ」
「歪んでますよ」
「美少女は巨乳なんて言わないし地べたに這いつくばらないんですよ、普通は」
「誰だって巨乳って言っていいし地べたに這いつくばる権利くらいありますよ?」
 そのまましばらく2人は見つめ合った。ややして「ああ」とミモザは納得したように頷く。
「もしかしてジーン様、あまり女性と接したことがないんでしょうか」
「は、はぁーっ!?」
 明らかに動揺したようにジーンは目を剥いて声を上げる。
「あ、ありますよ!先生は女性じゃないですか!」
「じゃあ同年代の女子と接した経験は?」
 彼はそっぽを向いてうつむいた。
「く、クラスメイトと」
「クラスメイトと?」
「あ、挨拶くらいしたことあるし?」
「つまりそれ以外はないんですね」
「うぐぐっ」
 うめくジーンにミモザはさらに首をひねる。
「普通貴族って婚約者とかいるものなんじゃないんですか?」
「みそっかすの三男にそんなものはそうそういませんよ」
 むすり、と彼は不機嫌そうにそう告げた。
「親には好きにしろって言われてそれだけです」
「自由でいいじゃないですか」
「よくないですよ!三男なんてね!どっかいいとこに頑張って就職するか婿入りしない限り穀潰し扱いで家族に冷たマカ と はい目で見られるんですよ!長男のスペアですらないから家に居場所がないんです!!」
 なかなか複雑な立場らしい。彼はぶつぶつと「女の子が欲しいから産んだのに男の子が産まれちゃった結果の僕ですよ」とぼやいた。
「だから僕は頑張ってるんですよ。真面目に勉強して学園で優秀な成績をおさめ、先生に弟子入りして、エリート街道を走って決して無能だなんて思われないように……」
「その結果女の子との接触が無さすぎてこじらせちゃったんですか?」
「こじらせてません!」
 ジーンは拳を振り上げて力説した。
「女の子はお花と砂糖菓子となにか素敵なものでできてるんですよ!」
「女の子の構成要素は血と肉と骨ですよ」
「うそだー!!」
 しかしすぐに打ちのめされて耳を塞いで叫ぶ。本人も多少夢を見過ぎている自覚があるのだろう。しかし認め難いのか弱々しくあらがった。
「お、女の子はなんかいい匂いがして、髪の毛サラサラで、下品なことは言わないんだ」
「何もつけなきゃ普通に汗の匂いですし、髪の毛ぼざぼさの人もいるし、下ネタも言いますよ」
「イヤー!!」
 しかしすぐに返り討ちにあってうずくまる。
「うっうっ、僕の理想の女の子像が汚された」
 ミモザはその背中に優しくそっと手を添える。そうして穏やかに諭した。
「よかったですね、早くに目覚められて」
「最悪だ……」
 幽鬼のようにうめくジーンの背中をさすってあげながら、少しやりすぎたか、と反省する。
 まぁ言ったことはすべて事実である。
アントシアニンの効果サプリメント マカサプリメント マカゴーヤ

 そこは森のゴーヤ

 そこは森の中だった。亜鉛
 青々と生い茂る木々や草花、頭上までマカ と は覆う木の葉の隙間から木漏れ日が溢れる。
 どこか遠くで鳥の鳴く声がしていた。
 ミモザはあたりを見渡すと遠くに何か光る物が見えた気がしてそちらに近づく。そこにあったのはーアントシアニンの効果ー、
「聖剣……」
 木々や草花がそこだけ生えるのを避けたかのような森の中の突如開けた空間に、その何の変哲もない剣は刺さっていた。
 近づいてしげしげと眺める。
 ごくり、と一つ唾を飲み込んだ。
 ミモザはそれに手をかけると、勢いよく一気に引き抜いた。
「………抜けた」
 思わずぽかマカ サプリんとする。しかし何か力が湧いてくるような気配はない。
 どうしようかな、と剣をぷらぷら振ってみると
『何のために力を望む』
「うおっ」
 剣から声がした。もう一度振ってみる。
『何のために力を望む』
 まったく同じセリフがきた。
(なんか、あれに似てるな)
 ボタンを押すと決まったセリフを喋ってくれる人形みたいだ。
 ミモザはもう一度振ろうとして
『振るな。何のために力を望む』
 注意を受けた。どうやら録音された音声が再生されているわけではないらしい。
 ミモザは周囲を見渡してゴーヤ誰かが近くに潜んで腹話術をしていないかを確認してから、小さく一度息を吸って、言った。
「奪い返すために」
『何を?』
 その質問にちょっと悩んで、告げる。
「僕の、生きる価値を」
 しばしの沈黙が落ちる。ミモザはあまりにも正直過ぎたか、と少し後悔した。
 あまりに利己的で小さな動機だ。
 世界を救うためじゃない。誰かを助けるためでもない。
 自分自身を、満足させるためだけだ。
 たったそれだけのことに命を賭けている。
 自分のちっぽけで、あまりの小者ぶりに笑えてくる。
 そこまで考えて、ふともう一つ思いついた。
「大切な人を守るために」
 レオンハルト。
 ミモザの脳裏にあの藍色の髪と金色の瞳がちらつく。
 彼が死んでしまったり、狂化に飲まれ亜鉛てしまう運命さえ変えられれば、例えミモザがどうしようもない奴でも、例えミモザが聖騎士になることに失敗したとしても、上出来ではないだろうか。
 ミモザは微笑む。
 先程の自嘲の笑みとは違う、それはとても穏やかで見る者の目を奪うような満ち足りた微笑みだった。
『ふむ』
 聖剣は考え込むような声を発する。
『動機が不純なのはまぁいいが、魔力が足りんからダメじゃ』
「え、」
『あと不適合者が触れた場合は私はここから解放されることになっておる、感謝する』
「え?」
 そしてばきり、と剣は折れた。
「……………」
 ミモザは折れた剣を見つめて呆然とする。
(魔力の話なんか聞いてない)
 ゲームではそんな設定はなかったはずだ。
「クソゲーめ」
 淡い期待を抱いて損をした。ちぇ、と口を尖らせてミモザは折れた剣を投げた。それはミモザがここに入る時に通過した壁にぶつかり、そして通り抜けて消えた。
「いてっアントシアニン
 続けて、誰かに当たった音と声がした。
 ミモザは慌てて壁に頭を突っ込んで異空間の出入り口から外を覗く。
「あー、なんじゃこれは」
「折れた剣みたいだね」
 息を呑む。そこには以前第5の塔で遭遇した老人、保護研究会のロランが頭をさする姿と、その隣で剣の残骸を拾う見知らぬ少年がいた。
 少年はミモザとちょうど同じくらいの年齢に見える。淡い水色の髪に水色の瞳をした中性的な美少年だった。真っ黒い礼服とネクタイという服装と声でかろうじて少年であろうと推察できた。
 にこやかに微笑んでいるように見えるのに、何故だか不吉な印象を与える少年だ。
 ミモザは少し悩むと、彼らが折れた剣に気を取られている隙にそっと異空間から抜け出して彼らの背後へと回った。
 そしてチロをメイスへと変えるとロランへ向けて振り上げる。
「ロラン」
 水色の少年がまるで後ろに目がついてでもいたかのように振り返るとミモザへと杖を向けた。
 そこから風の刃が鋭く放たれる。
「……っ」
 ミモザは素早く後方へと飛んでそれを避けた。
「あっ、おぬしは」
 ロランがミモザを見て声を上げる。
「知り合いかい?」
 少マカ サプリ年は親しげにロランに声をかけた。年端もいかない少年が老人に対等な立場で話しかける様子はいやにちぐはぐな印象を受ける。
 しかしロランは気にせず少年の問いかけに頷く。
「第5の塔で邪魔をしてくれおった小娘じゃ」
「あーあの、聖騎士の弟子だっけ?」
「そうじゃ」

『どうしてここに?』

 見知らぬ少年とミモザの言葉がかぶった。
 ミモザがメイスを構え、ロランも槍を構えた。その間に立つ少年はまるで降参でもするように両手を上げながらにこりと笑う。
「まぁ落ち着きなよ。ボクは君と敵対するつもりはないよ。今はね?」
「なぜですか?」
「メリットがないからさ。逆に言えば君と仲良くしてもデメリットがない」
 ロランも落ち着きなよ、と彼は声をかける。
「むぅ、しかしこの小娘は……」
「話は君から聞いて知っているよ。なかなかの食わせ者だっていうのはね」
 彼は心得ていると言わんばかりにぱちり、とミモザにウインクをしてみせる。
「でも君も今は手を出す理由がないんじゃない? 僕たちは今、なんの犯罪行為も犯してないんだからさ」
「貴方はともかくそちらのご老人は脱獄犯ですよ」
「まぁまぁ、それだけじゃない」
「大問題なんですけど」
 あの後レオンハルトの機嫌が悪くて大変だったのだ。なだめるのにどれだけ苦労したことか。
 半眼で見やるミモザに、彼は人差し指をマカ サプリ顔の前でピンと立てて見せると「聖剣」と呟いた。ミモザはぎくりと肩を揺らす。
「こんなところで遭遇するなんて、それ以外に理由があるかい?」
「なんのことだかわかりませんね」
 そらっとぼけるミモザに「実は随分前からこの場所に目星はつけていてね」と彼は語りかけた。
「けどここから先、聖剣の取り出し方がわからなかったんだ」
 先ほどミモザが投げ捨てた折れた剣を彼はかざして見せる。
「これ、壊れているけど聖剣だよね? そしてこの剣の出現と同時に君は現れた」
「……僕はただの通りすがりです」
 苦しいがミモザとしてはそう言ってしらをきるしかない。ここで認めるのは悪手だ。
 ふむ、と彼は一つ頷く。
「質問を変えよう。ここに来るまで手掛かりとしてあるはずだった石碑がすべて破壊されてたんだよね」
「あ、あー……」
「知らないかい? 石碑」
「知りません」
「ほんとーに?」
「知りません!」
 しばし、じぃっと彼はミモザのことを疑わしげに見つめた。ミモザは必死で目線を逸らした。
「………」
「……………」
「…………………」
「………………………すみません、それあげるんで勘弁してください」
「やっぱり壊したのは君だったか」
 まぁここに三人しか人がいない以上、その中の誰かが犯人なんだけどね、と少年は肩をすくめる。
「ボクとロランが違えば君しか犯人いないよね」
「他の第三者かも知れないじゃないですか」
「本気で言ってる?」
 もちろん、本気では言アントシアニンっていない。悪あがきをしてみただけだ。
「ご先祖様の手記には場所の手がかりは書いてあったけど取り出す方法は書いてなかったんだよね」
「ご先祖様?」
「そう。ああ、そういえば名乗ってなかったね」
 そういうと少年は綺麗な礼をしてから黒い五角形を取り出して見せた。五角形の一番上の角に金色の印がついている。
「ボクはエオ。保護研究会の五角形のうちの一角だよ」
 彼は美しく微笑んだ。
 その名前にミモザは聞き覚えがあった。
「貴方がバーナードの言っていた……」
「……ああ。彼を捕まえたのも君なのか」
 彼の言葉にしまったとミモザは迂闊な発言を後悔する。
(敵だとみなされただろうか)
 いざとなったら逃げ出そうと片足を後ろに下げたところで、彼はそれに気づいたように苦笑した。
「ああ、気にしなくていいよ。保護研究会のメンバーはそれぞれ独立していて仲間意識は薄いんだ。一角が削れたって別の誰かがそこに補充されるだけだからね」
「……はぁ」
 それはなんとも薄情な話である。
 しかしロランは彼とは異なる意見なのか案ずるように「バーナードはどうなった?」と尋ねてきた。
「……今は牢屋に収監されていますよ。しかし犯した罪が罪ですから。近いうちに死刑が確定するでしょう」
「……そうか」
「おっと、そういえば例外がいたねぇ。君はみんなと仲が良かった」
 呆れたように、しかし許すように微笑んでエオは言う。
「そうだな、君が望むなら彼のことを牢屋から連れ出してあげても構わないよ。君のことを連れ出したようにね」
(エオがロランのことを脱獄させたのか)
 ミモザは驚く。どうやら二人はそれなりに親しい仲のようだ。ロランはゴーヤ彼の提案に少し悩んだ後、
「いや」
 と首を横に振った。
「助けに行くならわしが行くからいいわい」
「それは良くないなぁ」
 それにエオは難色を示す。
「君の脱獄があってただでさえ警備は強化されているし、その上彼は王国騎士団団長の恨みを買っているからね。君が行ったら一緒に捕まるのがオチだよ」
「む、む……」
「行くならボクと一緒だよ。それ以外は認めない」
「むぅ……」
 ロランは困ったように眉を寄せ、結局「少し考えさせてくれ」と結論を見送った。
 どうやらこの二人に関しては主導権はエオが握っているらしい。
 エオはこちらを見ると「脱線しちゃったね。なんだっけ? 自己紹介だったっけ?」と首をひねった。
「もうお名前はお伺い致しました」
「そうそう、そうだったね。ちなみに本名はアイウエオだよ。長いからみんなエオって呼ぶんだ」
「50音じゃん……」
 その補足情報に思わずミモザは小声でつっこんだ。
「え、」
「ん?」
「あ……」
 ミモザはぱっと自分の口を両手で塞ぐ。
 エオと名乗った少年はそれを面白そうに眺める。
「君、この音の並びに心当たりがあるの」
「ありません、ありません」
「ふーん?」
 ミモザは冷や汗をだらだらと流す。
(なんで日本語の50音が名前なんだ……?)
 全くもって意味がわからない。
「ゴジューオンって、なんじゃ?」
 二人のただならぬ様子にロランが首を傾げる。
「うふふ、なんだろうねぇ」
 明らかにわかっている様子のエオはにやにやと言った。
「ちなみにこれはご先祖様の手記に記されていた音でね、50文字が5から3文字のまとまりで記されていたものだよ」
 やっぱり50音表だった。
「ここから順番にうちの人間は名付けられることになっている。ちなみにボクは一人っ子だけど弟が生まれれば名前はカキクケコになっていたはずだよ」
 あまりに雑過ぎゴーヤる名付け方だ。そしてやっぱり意味がわからない。
 エオの言った情報が本当だったとして、日本語の知識があったのはエオではなく先祖だったということになる。
(そういえばご先祖の手記に聖剣の場所の手がかりが書いてあったって言ってたな)
 ということはエオの先祖はゲームのプレイヤーだった可能性が高い。転生なのか転移なのかはわからないが、それに類する何かなのだろう。
 そこでふと、ミモザは思い出した。
「あのぅ、もしかしてなんですが……」
「うん?」
 エオは促すように顎を上げる。
「貴方のご先祖様って、ハナコ・タナカ様って名前じゃありませんか……?」
 以前聞いた150年前の異世界チートのお方である。
 その質問にエオは目を見張ると「驚いた」と口にした。
「その通りだよ。よくわかったね」
「ははは……」
 なるほど、納得である。
「ボクはフルネームをアイウエオ・タナカというんだよ」
 聞けば聞くほどふざけた名前だ。しかし日本の知識がない人間は少し変わった名前としか思わないのだろう。
「それで? えーと、君は……」
「あ、ミモザです」
「ミモザちゃん、君は何者なのかな?」
 にやにやとエオは察しがついているように尋ねてきた。
「えっと、僕はレオンハルト様の弟子で……」
「うん、知ってる」
「えーーーーとっ」
 ミモザの思考はぐるぐると空転する。彼は敵か味方かというと敵寄りの人間である。
(ーーというか)
 はっとミモザは気づく。
(彼は主人公の攻略対象では?)
 確か保護研究会にも一人いたはずだ。天才キャラだったと記憶している。
 立場の強そうな美少年。その上、日本の知識あり。
(攻略対象な気がする)
 しかし確証はない。記憶があやふや過ぎてわからないのだ。
「うふふ」
 黙り込むミモザをどう思ったのか、エオは笑うと折れた聖剣を振って見せた。
「まぁ、これの提供に免じて今は君の正体は暴かないでおいてあげよう」
「ありがとうございます」
 普通に助かったのでミモザは平身低頭した。
dha epa dha亜鉛 サプリ亜鉛亜鉛 サプリ おすすめ亜鉛の効果

 結論から言亜鉛 サプリ

 結論から言えばいじめ問題は解決した。
 ミモザが学校に通わず課題のみの在宅学習を亜鉛することを認めるというアントシアニンの効果形で、だ。
 ーーあの後、学校は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
 悪質なイジメとそれを担任の教師が見て見ぬふりをして増長していたことを重く受け止めた学校側が保護者とゴーヤの話し合いの場を設けたのである。
 それはミモザの狙い通りの結果だった。
 隣のクラスの担任教師は公正明大を自で行く人物で、曲がったことを許さない性格であることをミモザは知っていた。そして授業中に騒ぎを起こせば責任感の強い彼ならば駆けつけてくれることも確信していたのだ。
(でも意外だったな)
 誤算だったのはミモザの母、ミレイが想像以上に怒ったことである。
 ミレイは本来とても大人しく日アントシアニンの効果和見な人間だ。それこそ周囲の人間に「双子の見分けがつかないと困る」と言われて髪型や服装を分けさせることで差別化を図るという行動に従うほどである。
 ミモザの小心者な性格は彼女から受け継いだと言っても過言ではない。
 だから今回の件もいままでのミモザがそうであったように、ミレイは困ったような顔をして事を荒立てず穏便に済ますと思っていたのだ。ーーけれど、
「ミモザ……っ」
 傷だらけのミモザを前に彼女は半泣きで駆け寄ると、すぐにその体を抱きしめた。
 そうしてミモザの怪我の具合を確認すると、キッと顔を上げ「一体どういうことなんですか!」とそばで説マカ明のために控えていた教員に詰め寄ったのだ。
 これにはミモザは驚くのを通り越して呆気に取られた。これまでの人生で母がそんなにきつい声を出すところを初めて見たのだ。
 そしてその後も驚きの連続だった。学校側の説明を受け今後の対応の話になった時、学校側は再発を防ぐためにミモザを他のクラスに移すことを提案した。これはかなり思い切った案であると思う。学校側もそれくらい今回の件を重く見ていたということだろう。しかしそれにミレイは首を横に振った。
「それだけでは足りません。聞けばクラスの全員が今回の件に加担していたといいます。そしてそれに先生方は誰一人気づかず、担任の先生は隠蔽していたとか。その状況でどうして貴方がたを信用できると言うのです。クラスを変えたところで同じことが起きない保証は?事件になったことで逆恨みをされてさマカ サプリらにひどいことになるかも知れない。第一ミモザの気持ちはどうなるのです。みんなにいじめられていたことを知られているんですよ。それで何食わぬ顔をして明日から学校に通えと言うのですか!こんな酷い怪我を負わされて!」
 そこでミレイが提示した条件は二つである。
 一つはミモザの在宅学習を認めること。ミモザの気持ちが落ち着くまで、下手をすればそれは卒業までになるかも知れないがプリント課題をこなすことでそれを授業の履修と見なし、きちんと卒業資格も与えること。
 そしてもう一つはミモザが復学したくなった際にはそれを認め、その際には今回いじめに加担した生徒からの接触を一切禁じることである。
 ミモザから話しかけた場合はいい。しかし加害者側からミモザに近づくことはないように監視して欲しいという要求である。
 当然学校側は四六時中見張っていることはできないと渋ったが「ではもし同様のことが影で行われてもやはり気づくことはできないということですね」と強く言われて亜鉛の効果しまうと反論は難しいようだった。
 結局、落とし所としては一つ目の条件は全面的に認め、二つ目に関しては要努力で適宜聞き取り調査なども行いながら対応していくという形となった。
 ちなみにミモザとしては許されるならば学校になど二度と行きたくないので卒業まで在宅学習で通す気満々である。一部の熱血教師を除いて学校側も対応に困っている様子のため、ミモザが学校に行かないという行為は双方にとって益がある選択だと言えるだろう。
「ミモザ、ミモザ、ごめんね、気づいてあげられなくて。頼りないママでごめんね」と抱きしめながら泣く母親にミモザは自分が愛されていたことを知って泣きそうになった。
 てっきりこの母も人気者のステラのことを自慢に思い、ミモザのことを下に置いていると思っていた。だからこのような面倒ごとを起こしてはうっとうしがられると思っていたのである。
 しかし実際は母はミモザのために泣き、ミモザのために学校と戦ってくれたのである。
 誤算は誤算でもこれは嬉しい誤算だった。
 ちなみに今回の件でアベルは一気に評判を落として面子が潰れたようである。姉のステラにも「嘘をついていたのね、ひどい!」とゴーヤなじられたようだ。
 一度潰れた面子はもう戻らない。偉ぶってももう格好がつかないだろう。彼の王冠は剥がされたも同然である。
 ついでに担任の教師も首になり、その上この小さい村中に噂が回り爪弾きにあっているようだ。彼がこの村を出ていく日も近いかも知れない。
(ざまぁみろ)
 ミモザは母親に抱きしめられながらほくそ笑んだ。
亜鉛 の サプリクロムの効能亜鉛の効果

「じゃあ、そポリ ペプチド

「じゃあ、そろそろ塔の最上階へと行きましょうか……」
 なんとクロムか立ち直ったジーンは力無くそう言亜鉛 サプリ おすすめった。まだその顔色は青白い。
「ジーン様はもう鍵を見つけられたのですか?」
「え?ええ、先ほど拾いました」
 そう言って彼は、銀の鍵を取り出してみせた。
「……………」
「まぁさすがに金は見つかりませんよ。でも思ったよりすぐゴーヤに見つかって良かったです」
「すぐに」
「ええ、入り口の近くに落ちてまして……」
 にこにこと悪気なく笑うジーン。ミモザは無言で自分のハンカチを取り出すとそこに包んでいた大量の銅の鍵をザーっと地面へとばら撒いた。
「えっ、ミモザさん、随分と大量に……」
 言いかけて気づいたのか彼はそこで言葉を止めた。
「えっと」
「すぐに見つかったんですか」
「え、亜鉛 の サプリえーと、どうだったかな」
「入り口の近くで」
「もしかしたら結構込み入ったところにあったかも」
 誤魔化すジーンに、ミモザはにこりと笑いかけた。
「ジーン様、いつ塔にいらしたんですか?」
「えっと、10分、いや15分前かな」
「そうですか、僕は朝の5時頃からいます」
「…………」
「今、何時でしたっけね……」
「え、えーと」
 気まずそうにジーンは言った。
「そろそろ昼食時ですね……」
「ふっ」
 ふっふっふっ、とミモザは笑う。声は笑っているがその表情は半泣きだ。
「ミモザさん……」
 痛ましいものを見る目でジーンはそっと、ミモザの背中に手を亜鉛の効果添えた。
「大丈夫です。現実をしっかり受け止めましょう。怖くないですよ」
「うわーん!!」
 ミモザは再び地に伏した。ジーンは先ほどのミモザのように無言でその背中を慰めるように撫でた。

「行きましょうか……」
「はい……」
 2人してしょんぼりと肩を落として歩く。階段を登ってすぐにその扉はあった。
 鍵をさす。回す。
 かちゃり、と小さな音を立ててその扉は開いた。本来なら初めての塔の攻略に感慨深くなるのかもしれないイベントを2人は無感情に淡々とこなした。
 感動するには2人とも心が疲弊しすぎていた。
 扉の向こうには暗闇が広がり、そこには一つだけ光が浮かんでいた。それはゆっくりとこちらへ近づくと右手の甲へと吸い込まれるように消えた。そこには花のような紋様が現れ、その花弁の内の一枚がゴーヤ チャンプルー銅色に染まった。それ以外の残り6枚の花弁は肌色のままである。
「塔の攻略の証ですね」
 そう言うジーンの手の甲には銀色の花弁が輝いていた。
 それを見てミモザはちっ、と舌打ちをする。
(そうだ、試しに……)
 第一の塔で得られる祝福、『観察』を使用してみる。使うことを意識してジーンのことを見てみると、そこにはゲーム画面で見るような表示が現れた。
『Lv強い MP多い HPまぁまぁ』
「………クソゲーめ」
 ミモザ、ハードモード確定の瞬間であった。

「では、僕はこれで」
 塔から出たところでジーンはそう言って小さく手を振って見せた。
「王都はこっちですよ?」
 来た道を指差して見せるがジーンは首を横に振る。
「先生に念のため塔の周辺を見て回るように言われているんです。野良精霊の異常が塔の周辺で起きると大変ですからね」
 ジーンは明言しなかったがおそらくその『大変』の中には塔の試練亜鉛 サプリを受けに来て被害者が出ると被害者遺族の会との関係がまた悪化しかねないことも含まれているのだろう。
 そういうことならとミモザも同行しようか迷ったが、ステラと鉢合わせしてしまう危険性を考えるとそれははばかられて結局見送ることにした。
 ただでさえ銀の鍵が見つからなかったせいで予定が押しているのだ。当初の予定通りにいっていればとっくに帰っている時間である。
 ジーンが塔の奥にある森へ立ち去っていくのを見送って、ミモザもさて帰るかと振り返ろうとしたところで、
「あら、ミモザ?」
 嫌な声がした。見たくはなかったが見ないわけにもいかないのでゆっくりと振り返る。
 風に靡くハニーブロンドの髪、星を孕んだサファイアの瞳、透き通った肌に淡いピンクの艶やかな唇。
 にこりと笑って、彼女は言った。
「奇遇ねぇ、こんなところで会うなんて」
「お姉ちゃん……」
 そばにはアベルを伴って、ステラがそこには立っていた。
「あら?」
 何かに気づいたようにステラは目を見張り、そしてそれを見てふふっ、と嬉しそうに笑う。
「ミモザ、もう塔に行ったのね」
 ミモザの右手を見たのだろう。そこにある紋様は塔を攻略した証だ。
「銅だったの?残念だったわね。でも大アントシアニンの効果丈夫よ、ミモザ」
 彼女は微笑んで、慰めるように続ける。
「次の塔ではきっと銀が取れるわ」
「……うん。そうだといいね」
 ゲームではミモザは銅しか取れない定めであった。次も銅の可能性が高い。
 対してステラはあえてハードモードを選択しなければ銀以上は確実だろう。
(不公平だなぁ)
 はぁ、とため息をつく。
 卒業試合以降ステラときちんと顔を合わせたのはこれで2回目だ。1回目は試合後の夕食だ。その時はさすがにステラも無言で非常に気まずかったが、今の様子を見るにどうやら立ち直ったらしい。
 まぁたった一度の負けでへこたれる人間ではないだろうとは思っていたが、それにしてもご機嫌である。
「……何かいいことあったの?」
「わかる?」
 うふふ、とステラは笑うと「ジャーン」と可愛らしいお花柄の巾着袋を取り出して見せた。
「これなーんだ!」
 そう言いながら巾着袋を開けてその中身を手のひらに広げて見せた。
 じゃらじゃらと流れ出てきたそれは大量の魔導石であった。
dha epa dhaゴーヤ チャンプルーdha epa dha

「ミモザ!」亜鉛 サプリ おすすめ

「ミモザ!」
 喜色をにじませた声でステラが名前を呼んゴーヤで立ち上がる。その瞳はきらきらと輝き、頬を紅潮させクロムの効能て笑う姿は相変わらずうっとりするほど美しかった。それに若干げんなりしつつミモザは首を横に振る。
「話は聞かせてもらった。けど薬草の採取は種類に厳密な制限があるし、塔の外に持ち出す行為は禁止だよ亜鉛
 本当は何も言わずに立ち去りたかったが、聖騎士の弟子という立場上、犯罪行為に対して忠告くらいはしないと世間体が悪い。
 ミモザのその忠告に、ステラは悲しそうに眉根を寄せた。
「どうしてそんな意地悪を言うの?この子が可哀想だとは思わないの?」
「可哀想だったら何をしてもいいわけじゃない」
 ミモザは上げていた手を下ろした。そして幼いながらに横槍ゴーヤを刺したミモザのことを強く睨みつけてくる少女のことをちらりと見る。
「薬草の数は限られている。取り過ぎれば当然絶滅してしまうから採取量は制限されているし、採取されて薬になって以降は優先順位を医者と国が判断して必要性の高い人に優先的に分配されるように管理されている。それを無視して掠め取る行為は犯罪だし、なにより他の順番を待っている人達に対する裏切りだ」
 それはステラというよりは少女に向けて言った言葉だった。彼女は気まずげに俯くが、すぐにまた顔を上げると「でも」と言い募った。
「でも、お母さんの病気が悪化したポリ ペプチドら……っ」
「医者はしばらくは大丈夫だと言ったんでしょ?」
 ぐっ、と少女の言葉が詰まる。ミモザはその様子にため息をついた。
「おおかた、お姉ちゃん以外の人にも頼んで断られたんじゃないの?今僕が言った理由で」
「え?」
 驚いたようにステラが少女を見る。少女は図星だったのか気まずそうに身じろぎをした。
「そりゃあ皆断るよ。バレたら大変だし君の言っていることに理はない。多少同情の余地があるとはいえ君のただのわがままだ。そんなことに自分の人生を賭けるような真似、まともな神経ならしないよ」
「でも……」
 ここまで言っても諦めきれない様子の少女に、ミモザは容赦をやめて言葉の切先を突きつけることにした。
「なんで君がやらないの?」
「………っ」
「第2の塔は攻略したんでしょ。なら第3の塔にも自分で入って亜鉛自分でやってくればいい」
 少女は俯く。ミモザは近寄ると彼女の顎に手をかけて上を向かせ、逃げることは許さないというように無理矢理目線を合わせた。
 彼女の瞳をその湖のように深い瞳で覗き込む。
「それをしないのは怖気付いたの?それとも何か他の理由かな。わからないけどさ」
 少女の目には怯えが浮かんでいた。そのまるで被害者のような表情に腹が立つ。
「自分の欲望のために罪を犯すというのなら、人に押し付けないで自分でしなさい」
 ぼろぼろと彼女の瞳から大粒の涙がこぼれた。それを無表情に見下ろして、ミモザは顎を掴んでいた手を離した。
(さて……)
 言いたいことも言わなければならないこともとりあえずは全て伝えた。あとはもうミモザの仕事ではない。そそくさとその場を立ち去ろうとするミモザのことを、しかしステラは許さなかった。
 ミモザの前へと立ち塞がり、両手を広げて逃がさないと言わんばかりに睨みつける。
「どうしてそんな酷いことを言うの?この子はここまで頑張ってきたマカ サプリんだから、その努力は褒められるべきことだわ」
 ミモザはため息を吐く。うんざりと髪をかき上げた。
「褒めるだけでいいならいくらでも褒めてあげるよ。ここまで来た根性は認める。でもそれとルール違反をしてもいいかどうかは別の話だよ」
「ルールルールってそればっかり!ミモザには人の気持ちがわからないの?」
 その言葉にミモザは鼻白む。とんだ言われようである。
「規則は守らないと国も世界も成り立たなくなっちゃうよ。なによりきちんとルールを守っている人が損をしちゃうのはダメだ」
 けれどただちにその場を立ち去りたい気持ちになんとか蓋をして諭すように話しかけた。しかしステラは拒絶するように首を横に振る。
「人それぞれ事情があるじゃない」
「黙って従ってる人にも事情はあるよ」
「……決めた」
 何を、と問いかける時間は与えられなかった。ステラの目が何かを覚悟したようにきらめき、ミモザのことを射抜く。
「ミモザ、わたしと勝負をしなさい。そしてわたしが勝ったら彼女に薬草をあげるのをこれ以上邪魔しないで」
「犯罪を容認しろってこと?」
 そんなのはダメだよ、と言おうとして急に頭痛に襲われてミモザは黙り込んだ。
(こ亜鉛 の サプリれは……)
 くらくらと目眩がする。既視感がミモザを襲ってくる。
(妨害イベント……)
 仕掛けてくるのはステラからとゲームとは逆になっているが、今この場面は確かに『ステラ達が塔に入るのを邪魔する』というミモザの妨害イベントそのものだった。
(これを止めようとしたのか、ゲームの『僕』は)
 薬草を無許可で採取しようとするステラを止めようとして次の妨害イベントは起きたのだ。
「ミモザ」
 黙り込んでいることを了承と取ったのか、ステラはティアラをレイピアへと変えて構えて立った。
「勝負よ!」
 その澄んだ真っ直ぐな眼差しに、ミモザの頭痛は増した。
ゴーヤ チャンプルー亜鉛 サプリクロム

 そこは森の中だっゴーヤ チャンプルー

 そこは森の中だった。
 青々と亜鉛の効果生い茂る木々や草花、頭上まで覆う木の葉の隙間から木漏れ日が溢れ亜鉛 サプリる。
 どこか遠くで鳥の鳴く声がしていた。
 ミモザはあたりを見渡すと遠くに何か光る物が見えた気がしてそちらに近づく。そこにあったのはーー、
「聖剣……」
 木々クロムや草花がそこだけ生えるのを避けたかのような森の中の突如開けた空間に、その何の変哲もない剣は刺さっていた。
 近づいてしげしげと眺める。
 ごくり、と一つ唾を飲み込んだ。
 ミモザはそれに手をかけると、勢いよく一気に引き抜いた。
「………抜けた」
 思わずぽかんとする。しかし何か力が湧いてくるような気配はない。
 どうしようかな、と剣をぷらぷら振ってみると
『何クロムのために力を望む』
「うおっ」
 剣から声がした。もう一度振ってみる。
『何のために力を望む』
 まったく同じセリフがきた。
(なんか、あれに似てるな)
 ボタンを押すと決まったセリフを喋ってくれる人形みたいだ。
 ミモザはもう一度振ろうとして
『振るな。何のために力を望む』
 注意を受けた。どうやら録音された音声が再生されているわけではないらしい。
 ミモザは周囲を見渡して誰かが近くに潜んで腹話術をしていないかを確認してから、小さく一度息を吸って、言った。
「奪い返すために」
『何を?』
 その質問にちょっと悩んで、告げる。
マカ サプリ「僕の、生きる価値を」
 しばしの沈黙が落ちる。ミモザはあまりにも正直過ぎたか、と少し後悔した。
 あまりに利己的で小さな動機だ。
 世界を救うためじゃない。誰かを助けるためでもない。
 自分自身を、満足させるためだけだ。
 たったそれだけのことに命を賭けている。
 自分のちっぽけで、あまりの小者ぶりに笑えてくる。
 そこまで考えて、ふともう一つ思いついた。
「大切な人を守るために」
 レオンハルト。
 ミモザの脳裏にあの藍色の髪と金色の瞳がちらつく。
 彼が死んでしまったり、狂化に飲まれてしまう運命さえ変えられれば、例えミモザがどうしようもない奴でも、例えミモザが聖騎士になることに失敗したとしても、上出来ではないだろうか。
 ミモザは微笑む。
 先程の自嘲の笑みとは違う、それはとても穏やかで見る者の目を奪うような満ち足アントシアニンりた微笑みだった。
『ふむ』
 聖剣は考え込むような声を発する。
『動機が不純なのはまぁいいが、魔力が足りんからダメじゃ』
「え、」
『あと不適合者が触れた場合は私はここから解放されることになっておる、感謝する』
「え?」
 そしてばきり、と剣は折れた。
「……………」
 ミモザは折れた剣を見つめて呆然とする。
(魔力の話なんか聞いてない)
 ゲームではそんな設定はなかったはずだ。
「クソゲーめ」
 淡い期待を抱いて損をした。ちぇ、と口を尖らせてミモザは折れた剣を投げた。それはミモザがここに入る時に通過した壁にぶつかり、そして通り抜けて消えた。
「いてっ」
 続けて、誰かに当たった音と声がした。
 ミモザは慌てて壁に頭を突っ込んで異空間の出入り口から外を覗く。
「あー、なんじゃこれは」
「折れた剣みたいだね」
 息を呑む。そこには以前第5の塔で遭遇した老人、保護研究会のロランが頭をさする姿と、その隣で剣のアントシアニンの効果残骸を拾う見知らぬ少年がいた。
 少年はミモザとちょうど同じくらいの年齢に見える。淡い水色の髪に水色の瞳をした中性的な美少年だった。真っ黒い礼服とネクタイという服装と声でかろうじて少年であろうと推察できた。
 にこやかに微笑んでいるように見えるのに、何故だか不吉な印象を与える少年だ。
 ミモザは少し悩むと、彼らが折れた剣に気を取られている隙にそっと異空間から抜け出して彼らの背後へと回った。
 そしてチロをメイスへと変えるとロランへ向けて振り上げる。
「ロラン」
 水色の少年がまるで後ろに目がついてでもいたかのように振り返るとミモザへと杖を向けた。
 そこから風の刃が鋭く放たれる。
「……っ」
 ミモザは素早く後方へと飛んでそれを避けた。
「あっ、おぬしは」
 ロランがミモザを見て声を上げる。
「知り合いかい?」
 少年は親しげにロランに声をかけた。年端もいかない少年が老人に対等な立場で話しかける様子はいやにちぐはぐな印象を受ける。
 しかしロランは気にせず少年の問いかけに頷く。
「第5の塔で邪魔をしてくれおった小娘じゃ」
「あーあの、聖騎士の弟子だっけ?」
「そうじゃ」

『どうしてここに?』

 見知らぬ少年とミモザdha epa dhaの言葉がかぶった。
 ミモザがメイスを構え、ロランも槍を構えた。その間に立つ少年はまるで降参でもするように両手を上げながらにこりと笑う。
「まぁ落ち着きなよ。ボクは君と敵対するつもりはないよ。今はね?」
「なぜですか?」
「メリットがないからさ。逆に言えば君と仲良くしてもデメリットがない」
 ロランも落ち着きなよ、と彼は声をかける。
「むぅ、しかしこの小娘は……」
「話は君から聞いて知っているよ。なかなかの食わせ者だっていうのはね」
 彼は心得ていると言わんばかりにぱちり、とミモザにウインクをしてみせる。
「でも君も今は手を出す理由がないんじゃない? 僕たちは今、なんの犯罪行為も犯してないんだからさ」
「貴方はともかくそちらのご老人は脱獄犯ですよ」
「まぁまぁ、それだけじゃない」
「大問題なんですけど」
 あの後レオンハルトの機嫌が悪くて大変だったのだ。なだめるのにどれだけ苦労したことか。
 半眼で見やるミモザに、彼は人差し指を顔の前でピンと立てて見せると「聖剣」と呟いた。ミモザはぎくりと肩を揺らす。
「こんなところで遭遇するなんて、それ以外に理由があるかい?」
「なんのことだかわかりませんね」
 そらっとぼけるミモザに「実は随分前からこの場所に目星はつけていてね」と彼は語りかけた。
「けどここから先、聖剣の取り出し方がわかサプリメント マカらなかったんだ」
 先ほどミモザが投げ捨てた折れた剣を彼はかざして見せる。
「これ、壊れているけど聖剣だよね? そしてこの剣の出現と同時に君は現れた」
「……僕はただの通りすがりです」
 苦しいがミモザとしてはそう言ってしらをきるしかない。ここで認めるのは悪手だ。
 ふむ、と彼は一つ頷く。
「質問を変えよう。ここに来るまで手掛かりとしてあるはずだった石碑がすべて破壊されてたんだよね」
「あ、あー……」
「知らないかい? 石碑」
「知りません」
「ほんとーに?」
「知りません!」
 しばし、じぃっと彼はミモザのことを疑わしげに見つめた。ミモザは必死で目線を逸らした。
「………」
「……………」
「…………………」
「………………………すみません、それあげるんで勘弁してください」
「やっぱり壊したのは君だったか」
 まぁここに三人しか人がいない以上、その中の誰かが犯人なんだけどね、と少年は肩をすくめる。
「ボクとロランが違えば君しか犯人いないよね」
「他の第三者かも知れないじゃないですか」
「本気で言ってる?」
 もちろん、本気では言っていない。悪あがきをしてみただけだ。
「ご先祖様の手記には場所の手がかりは書いてあったけど取り出す方法は書いてなかったんだよね」
「ご先祖様?」
「そう。ああ、そういえば名乗ってなかったね」
 そういうと少年は綺麗な礼をしてから黒い五角形を取り出して見せた。五角形の一番上の角に金色の印がついている。
「ボクはエオ。保護研究会の五角形のうちの一角だよ」
 彼は美しく微笑んだ。
 その名前にミモザdhaは聞き覚えがあった。
「貴方がバーナードの言っていた……」
「……ああ。彼を捕まえたのも君なのか」
 彼の言葉にしまったとミモザは迂闊な発言を後悔する。
(敵だとみなされただろうか)
 いざとなったら逃げ出そうと片足を後ろに下げたところで、彼はそれに気づいたように苦笑した。
「ああ、気にしなくていいよ。保護研究会のメンバーはそれぞれ独立していて仲間意識は薄いんだ。一角が削れたって別の誰かがそこに補充されるだけだからね」
「……はぁ」
 それはなんとも薄情な話である。
 しかしロランは彼とは異なる意見なのか案ずるように「バーナードはどうなった?」と尋ねてきた。
「……今は牢屋に収監されていますよ。しかし犯した罪が罪ですから。近いうちに死刑が確定するでしょう」
「……そうか」
「おっと、そういえば例外がいたねぇ。君はみんなと仲が良かった」
 呆れたように、しかし許すように微笑んでエオは言う。
「そうだな、君が望むなら彼のことを牢屋から連れ出してあげても構わないよ。君のことを連れ出したようにね」
(エオがロランのことを脱獄させたのか)
 ミモザは驚く。どうやら二人はそれなりに親しい仲のようだ。ロランは彼の提案に少し悩んだ後、
「いや」
 と首を横に振った。
「助けに行くならわしが行くからいいわい」
「それは良くないなぁ」
 それにエオは難色を示す。
「君の脱獄があってただでさえ警備は強化されているし、その上彼は王国騎士団団長の恨みを買っているからね。君が行ったら一緒に捕まるのがオチだよ」
「む、む……」
「行くならボクと一緒だよ。それ以外は認めない」
「むぅ……」
 ロランは困ったように眉を寄せ、結局「少し考えさせてくれ」と結論を見送った。
 どうやらこの二人に関してアントシアニンの効果は主導権はエオが握っているらしい。
 エオはこちらを見ると「脱線しちゃったね。なんだっけ? 自己紹介だったっけ?」と首をひねった。
「もうお名前はお伺い致しました」
「そうそう、そうだったね。ちなみに本名はアイウエオだよ。長いからみんなエオって呼ぶんだ」
「50音じゃん……」
 その補足情報に思わずミモザは小声でつっこんだ。
「え、」
「ん?」
「あ……」
 ミモザはぱっと自分の口を両手で塞ぐ。
 エオと名乗った少年はそれを面白そうに眺める。
「君、この音の並びに心当たりがあるの」
「ありません、ありません」
「ふーん?」
 ミモザは冷や汗をだらだらと流す。
(なんで日本語の50音が名前なんだ……?)
 全くもって意味がわからない。
「ゴジューオンって、なんじゃ?」
 二人のただならぬ様子にロランが首を傾げる。
「うふふ、なんだろうねぇ」
 明らかにわかっている様子のエオはにやにやと言った。
「ちなみにこれはご先祖様の手記に記されていた音でね、50文字が5から3文字のまとまりで記されていたものだよ」
 やっぱり50音表だった。
「ここから順番にうちの人間は名付けられることになっている。ちなみにボクは一人っ子だけど弟が生まれれば名前はカキクケコになっていたはずだよ」
 あまりに雑過ぎる名付け方だ。そしてやっぱり意味がわからない。
 エオの言った情報が本当だったとして、日本語の知識があったのはエオではなく先祖だったということになる。
(そういえばご先祖の手記に聖剣の場所の手がかりが書いてあったって言ってたな)
 ということはエオの先祖はゲームのプレイヤーだった可能性が高い。転生なのか転移なのかはわからないが、それに類する何かなのだろう。
 そこでふと、ミモザは思い出した。
「あのぅ、もしかしてなんですが……」
「うん?」
 エオは促すように顎を上げる。
「貴方のご先亜鉛 サプリ おすすめ祖様って、ハナコ・タナカ様って名前じゃありませんか……?」
 以前聞いた150年前の異世界チートのお方である。
 その質問にエオは目を見張ると「驚いた」と口にした。
「その通りだよ。よくわかったね」
「ははは……」
 なるほど、納得である。
「ボクはフルネームをアイウエオ・タナカというんだよ」
 聞けば聞くほどふざけた名前だ。しかし日本の知識がない人間は少し変わった名前としか思わないのだろう。
「それで? えーと、君は……」
「あ、ミモザです」
「ミモザちゃん、君は何者なのかな?」
 にやにやとエオは察しがついているように尋ねてきた。
「えっと、僕はレオンハルト様の弟子で……」
「うん、知ってる」
「えーーーーとっ」
 ミモザの思考はぐるぐると空転する。彼は敵か味方かというと敵寄りの人間である。
(ーーというか)
 はっとミモザは気づく。
(彼は主人公の攻略対象では?)
 確か保護研究会にも一人いたはずだ。天才キャラだったと記憶している。
 立場の強そうな美少年。その上、日本の知識あり。
(攻略対象な気がする)
 しかし確証はない。記憶があやふや過ぎてわからないのだ。
「うふふ」
 黙り込むミモザをどう思ったのか、エオは笑うと折れた聖剣を振って見せた。
「まぁ、これの提供に免じて今は君の正体は暴かないでおいてあげよう」
「ありがとうございます」
 普通に助かったのでミモザは平身低頭した。
dha亜鉛 の サプリポリ ペプチドマカ と は亜鉛 の サプリ

 大人の登亜鉛 サプリ おすすめ

 大人の登場にその場に緊張が走った。
「一体誰だ?お前ら全員か?あん?」
 マカ サプリよりにもよってガラの悪い人の家だった。
 しかし状況マカが変わったのは確かだ。ミモザは助けを求めようと家主の男に話しかけようとしてーー
「こいつだ!!」
「……え?」
 アベルが指さしていた。ミモザのことを。
マカ サプリ「こいつが割ったんだ!俺たちは関係ない!!」
「……っ!!」
 確かにガラスを割ったのはミモザだ。しかしそれはアベル達に追われていたからだという言い訳は、家主の男には関係ない話だろう。
(どうしよう)
 どうしたらいいか頭がまったく回らず汗が全身から噴き出す。ここで窓ガラスを割ったのがミモザだと素直に認めマカ サプリたらどうなるだろうか。男には怒られるがアベル達からは逃れられる?しかしまた同じ目にあわないとはとても言えない。可能であればここでアベル達はもう一度咎められてほしい。バレなければいじめて構わないという成功体験を積み重ねさせるのは悪手だ。しかしどうしたらいいかがわからない。
 ミモザにはどうしたらいいかがわからない。
「お前……」
 ミモザはその声に身をすくめた。
 家主の男は険しい顔でミモザのことを見つめ、手をーー、
「待ちなさい」
 鋭い声と共にその亜鉛 の サプリ手は制止された。
「俺はすべてを見ていたぞ」
 そう言って現れたのは
「レオン様……」
 レオンハルトだった。
「言うべきことがあるのではないか?」
 風になびく波打つ藍色の長髪、金色に輝く左目。
 長身の美丈夫が皆を睥睨するように腕組みをして言った。

「兄貴!!」
 アベルは思わぬ加勢に目を輝かせる。ミモザは反対に顔を俯かせた。
 すべてを見ていたぞ、とレオンハルトは言った。
 ミモザが窓ガラスを割っているのを見たからそのように言ったのだろう。まして相手はレオンハルトの弟である。
(終わった……)
 いかにミモザがレオンハルトの弟子とは言えど、せいぜい半年の付き合いである。レオンハル亜鉛 の サプリトが弟のことを可愛がりこの村に訪れているのは有名な話だった。
 どちらの肩を持つかなど火を見るよりも明らかだ。
「なぁ、兄貴!わかるだろ!窓ガラスを割ったのはこいつだ!俺は悪くねぇ!」
 喜色満面でアベルは兄に近づきその腕に触ろうとしてーー、その手を振り払われた。
「……え?」
 見上げたレオンハルトの顔は、険しい。
「嘘をつくな」
 誰もが耳を疑うような言葉を、彼は重々しく告げた。
「俺はすべてを見ていたと言ったはずだ。誤ちは自身で認めなさい」
「あ、兄貴?見てたならわかるだろ?俺は本当に……」
「嘘をつくなと言っているだろう!」
 けして怒鳴っているわけではないのに怒鳴りつけられたような迫力をもって彼は告げる。
「お前達4人はその子を追いかけ回して石を投げつけていたな」
「……えっと」
 予想外の展開にミモザはぽかんと間抜けに彼を見上げてしまう。
「その投げたうちの一マカ と はつがこの窓ガラスに当たったんだ」
「ち、違う!」
「何が違う?」
 ゆっくりとレオンハルトはミモザへと近づくと、ミモザの顔を見て眉をひそめた。そっと割れ物にでも触るように手を伸ばすと傷口へと触れる。
「……っ」
「痛むだろう。すまなかった。駆けつけるのが遅くなった」
 そして今度は立ち上がると窓ガラスを割られた家主へと深々と頭を下げる。
「俺の愚弟が大変な失礼を致しました。こちらの窓ガラスは弁償させていただきます。大変申し訳ありませんでした」
「あ、ああ、まぁ、弁償してくれんなら俺はいいけどよ」
「後日修理にかかった金額を伝えてくだされば払いますので」
 もう一度丁寧に「誠に申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げる。
「違う!なんで兄貴が頭を下げんだよ!!」
 それに不満を唱えたのはアベルだ。しかしそんな弟のことをぎろりと睨むと「お前が頭を下げないからだろう」とレオンハルトは言った。
「お前もきちんと謝罪しなさい」
「違う!俺は悪くない!!」
「ではきちんと説明しなさい」
 アベルの喚き声は亜鉛 サプリぴしゃりと跳ね除けられる。
「お前は確かにその子に石を投げつけて追いかけ回していた。俺は確かにそれを見た。それを間違いだというのならきちんと筋を通して説明しろ。できないだろう」
「た、確かに投げたよ、投げた!でもそれはそいつに向かってであって、窓ガラスは割ってない!割ったのはこいつなんだよ!」
 アベルの主張にレオンハルトはため息をつく。
「なぜこの子が窓ガラスを割る必要があるんだ」
「……そ、それは」
「逃げていたその子が窓ガラスを割ったと考えるより、石を投げていたお前らが割ったと考えるほうが自然だ。そうだろう?お前の言葉にはなんの説得力もない」
「でも本当に、本当なんだ。割ったのはこいつなんだ」
「よしんば窓ガラスを割ったのがその子だったとして、この子によってたかって石を投げつけていたのは事実なのだろう?」
 アベルが見上げた先には氷のように冷たい目をした兄がいた。
「軽蔑されるには充分な行いだとは思わないのか?」
「……っ、お、俺は」
「なんだ?正当な理由があるなら言ってみろ。一体どんな理由があったら女の子1人に4人でよってたかって石を投げつける正当性があるのか俺には皆目検討がつかないが」
「………っ!!」
 アベルアントシアニンは悔しそうに唇を噛みしめる。レオンハルトの言葉に反論できないのだろう。
 しかし窓ガラスを割っていないという彼の主張は正しいのだ。このまま黙っていろという自分と、レオンハルトを欺くつもりなのかという自分。両者がせめぎあって、ミモザは「あ、あの」と重い口を開いた。
「あの、あの窓ガラス……」
 しかし皆まで言うことは叶わなかった。即座にレオンハルトの手が伸び、周りに見えないようにミモザの傷を確認するふりをしながら口を塞がれたからだ。目を白黒させるミモザに、彼は全て了解しているというようににやりと笑った。
 その表情に、何も言われていないのに黙っていろと言われたように感じてミモザは口をつぐんだ。
「ああ、本当にすまなかった。痛むだろう。弟に代わって謝罪する」
 ミモザはその言葉に無言でこくこくと頷くのがせいいっぱいだ。レオンハルトはそれに苦笑すると地面に転がったままだったランチボックスを手にして土を払い、ミモザへと差し出した。
「本当にすまなかった。彼らは俺が責任持って親の元へと連れて行き反省させよう。君にも謝罪をさせる」
 そしてミモザの耳元へと口を寄せると周りには聞こえないように「ヘマをしたな」と囁いた。
「窓を割る必要はなかった。君は逃げるだけで良かったんだ。俺以外目撃者がいなくて良かった。次からはもっとうまくやりなさい」
 悪戯に成功した子どものように笑うレオンハルトに、ミモザは「お手数をおかけゴーヤ チャンプルーしました」と自分でもちょっとズレてるなと思う返答しかできなかった。
 レオンハルトの目がおもしろそうに瞬いた。
アントシアニンdha epa dhaクロム

 かくして、そのゴーヤ

 かくして、その少女は主人自ら送迎を行うという好待遇で屋敷クロムの効能に足を踏み入れた。
「………っ!」
 その姿にマゴーヤーサは息を呑んだ。マーサだけではない。主人の弟子の姿を一目拝もうと並んで出迎えた使用人達みんなが目を見張った。
 主人のレオンハルトは美しい男だ。それはマーサも認める。そんな主人と並んでもなんら見劣りしないどころか、それ以上に可憐で美しい現実離れした少女がその隣にはサプリメント マカ立っていた。
 美しい飴細工のようなハニーブロンドの髪に海の底を思わせる青い瞳は何かを憂うように伏せられ、長いまつ毛がそれを扇状に繊細に覆っていた。肌は雪のように白く透き通って唇はふっくらと桜色に色づいている。まるで職人が丹精込めて作った陶器でできた人形のように繊細で作り物めいた美しい少女だった。
 少年のような地味で露出の少ない服装だけがその容姿を裏切っている。
「弟子のミモザだ」
「よろしくお願い致します」dha epa dha
 主人の簡潔な紹介に続いて粛々と、鈴を転がしたような可愛らしい声で彼女は告げた。その顔はなんの感情も表さず、やはり作り物めいている。
「ミモザ、ここにいるのでこの屋敷の使用人はすべてだ。滞在中何か困ったことがあれば俺がいない場合はこいつらに聞け」
「わかりました」
 そのやりとりは淡々としていてマーサが危惧していたような類の感情は一切感じとれなかった。
「何か質問はあるか?」
 レオンハルトの事務的な問いかけに彼女は少し考えこむと「行ってはいけない場所ややってはいけない禁忌事項などはありますか?」とこれまた事務的な質問を返した。
(なんか思ってたんと違う)
 あまりにdha epaも無表情でまるで主人と似たような雰囲気の少女に、マーサは己の危惧を裏切られたにも関わらず落胆した。そこでマーサは初めて自分が来客に対してこの屋敷に新しい風を吹き込んでくれるのを期待していたことに気がついた。
「そうだな、離れには近づくな。それ以外は好きにしてくれてかまわん」
 『離れ』。その単語にぎくりとする。この屋敷の最大の闇とも言うべき場所だ。主人の近寄り難さ、不気味さの象徴であると言ってもいい。あそこに何があるか知っているマーサは用事がない限り近づきたくはないが、この屋敷を訪れた人間はあの場所を気にして入りたがる。それも当然だ。秘されれば覗きたくなるのは人の常である。
「わかりました」
 しかし彼女は理由も聞かずにあっさりとそれに頷いた。それが興味のないフリなのかどうか、マーサには判断がつかない。
「あと修行の合間の空いた時マカ間なのですが、ただ置いてもらうのは申し訳ないのでお仕事をもらえませんか?」
「いいだろう。ジェイド」
「はい、旦那様」
 彼女の要望に主人は鷹揚に頷き、呼ばれた蛙男はすっと近づいた。驚いたことに彼女は彼の容姿にもまったく無表情を崩さなかった。
「この子に仕事を教えてやってくれ。そうだな、仕事内容は……、俺の身の回りの世話だ。ミモザ、これはジェイドという。屋敷のことは彼に任せているから仕事は彼から教わりなさい」
「はい。よろしくお願い致します」
 深々と頭を下げる。マーサは主人の発言におやまぁ、と目を瞬いた。人嫌いの主人が身の回りの世話を任せる者は限られている。若い娘にそれをさせるのは初めてのことだった。
 マーサは必死にジェイドに『どういうことだろうねぇ、気になる関係じゃないか』とアイコンタクトを送ったがジェイドはちょっと引いた顔で『は?何?』という顔をするだけだった。それに内心でちっと舌打ちをする。有能な奴だがこういう察しの悪いところがあるのだ、ジェイドというクロムの効能男は。
「ではジェイド、さっそく彼女の案内を頼む」
「はい」
 大抵の若い娘であればジェイドに案内役をふられた時点で大概げんなりとしたり期待が外れたような表情をするのだが、やはり少女は顔色ひとつ変えずに「よろしくお願い致します」と頭を下げるだけだった。

 では頼むと言い置いてレオンハルトは執務室へと戻っていった。
 残されたのはミモザと託されたジェイド、そして自主的に残ったマーサだ。ジェイドは何故いなくならないのかという顔でこちらを見ていたがマーサは素知らぬ顔でミモザへ「マーサと申します」と自己紹介をした。
 ジェイドはそれにため息を一つ吐くと「では案内をするぞ」と先頭に立って歩き始める。
「ここが食堂」
「ここが書庫」
「ここが浴室」
 ジェイドは淡々と、そして素早く案内を済ませていく。雑談のざの字もないぶっきらぼうな態度に、しかし少女は特に文句を言うでもなく律儀に頷いていた。
「あそこが離れ。近づくなよ」
「はい」
 マーサは顔をしかめる。離れのことは目にするだけでも少し不快だ。
 そこはわざと人目から隠すように背の高い木で囲まれ、ちょっとした林のようになっていた。ポリ ペプチド背の高い屋根がかろうじて見えるのみで言われなければ離れの屋敷があることなど気づかないだろう。
「で、ここが倉庫」
 ジェイドは遠目に見えるそれからすぐに視線を移し、すぐ近くのこぢんまりとした建造物を指差した。そこまでスタスタと歩いていくとこれまでもそうだったように一応扉を開いて中を見せる。
 ミモザもこれまで同様にひょこり、とお愛想程度に中を覗いていた。
 ふとマーサも習って近づき、目に入った物に思わず顔をしかめる。
「どうされました?」
 ミモザはそれに目ざとく気づいたらしい。マーサの視線を追って、見つけたそれをじぃっと興味深そうに見つめた。
 『それ』。そう、数日前に買い出しに行った際に目にした、レオンハルトの姿が描かれた皿である。
「これは……」
 少女は戸惑ったように言い淀み、しかし続きを口にした。
「踏み絵に似た不謹慎さと恐ろしさを感じる代物ですね」
「んっふ!」
 思わずマーサは吹き出しかける。それを呆れた目でジェイドが見つつ「これを食事に使うわけがないだろう」と告げた。
「え?じゃあどうするんですか?」
「本気で言ってるのか?飾るんだよ、棚とか壁に。鑑賞用だ」
「………」
 彼女はなんとも言えないような微妙な表情で首をひねると、その皿を手に取りじっと見つめたまま「夜中に目が合いそうで嫌じゃないですか?」ぼそりとこぼした。
「んっは、ははははは!まぁねぇ、そう思うわよねぇ!」
 今度は笑いを抑ゴーヤえきれなかった。そのままばしばしと自分の膝を叩く。
「でもねぇ、巷じゃお嬢さん方に人気なのよ。ほら、旦那様は格好いいでしょう」
「なんで紙じゃなくて皿に書いてあるんですか?」
「紙に描いてあるもののほうが多いわよ。でもなんでか皿に描いてあるのもあるのよねぇ、なんでかしら?」
 2人でじっとジェイドを見る。彼は嘆息した。
「ただの皿を高く売りつけたい商人の陰謀だ。売れりゃあなんでもいいのさ。刺繍とかのもあるだろ」
「へー」
 ミモザは感心したように頷く。
「でもこれ、ある意味で効能がありそうですね」
「効能?」
 訊ねるマーサに彼女はこくりと一つ頷いた。
「野良精霊も強盗も裸足で逃げ出しそうです」
「んは、んはっはっは!確かに!恐ろしくって寄って来れないかも知れないねぇ!」
「一体何が恐ろしくって、一体何が寄って来れないって?」
 愉快な気持ちで笑っていると、ふいに背後から声が響いた。聞き覚えのあるその静かで落ち着いた声に、マーサは錆びついた人形のようにぎぎぎ、と振り返る。
「何をこんなところで油を売っている」
「だ、旦那様!」
 不機嫌そうに眉間に皺を寄せて、この屋敷の主人が腕を組んで仁王立ちをしていた。
(ひぃぃぃぃ)
 マーサは内心で悲鳴を上げる。怒っている、ように見える。少なくとも不機嫌ではある。
 ああなんで自分はこんな軽口を叩いてしまったのかと後悔する。この気難しい主人の機嫌を直す方法などマーサはおろか、ジェイドも知らないだろう。
 ちらりと横目でジェイドの様子を伺うと、彼も困ったように脂汗をハンカマカ と はチで拭いながら「旦那様、こんなところでどうなさいました?」と尋ねた。
 それにレオンハルトは親指で空を指し示す。視線を向けるともう日が傾きかけていた。結構なハイペースで屋敷を見てまわっていたつもりだったが、広いお屋敷だけあって結構な時間が経っていたらしい。
「仕事がひと段落したからな、ミモザに稽古でもつけてやろうと探しに来たんだ」
「それはそれは……」
 ジェイドは揉み手をしながら誤魔化すようにへらりと笑う。普段レオンハルトが不機嫌そうな時は使用人達は極力彼に近づかずにやり過ごしているのだ。レオンハルト自身も使用人達に好んで話しかけたり近づいてくることはない。このような事態は本当に稀だった。
「レオン様」
 その事態をどう見たのかはわからないが、平静な様子の声が響いた。ミモザだ。
 彼女はレオンハルトの注目を引くと手に持っていた皿を掲げてみせた。
「ん?ああ、なんだこれか」
 その皿を見てレオンハルトは面白くなさそうに眉をひそめる。
「これがどうした?確か試作品だか完成品だかを商人が持ってきたから倉庫に放り込んでいたんだ」
 その言葉を聞いた少女はとととっ、と軽い足取りでレオンハルトへと近づくと、背伸びをしてその耳元へと口を寄せた。レオンハルトもいぶかりながらもその意図を察して少し屈んで顔を近づける。
(おやまぁ)
 その親しげな様子をマーサは不思議な気持ちで見守った。ちらりとジェイドを見ると彼も目を丸くしている。
 そのまま何事かを彼女が囁くと、レオンハルトは微妙そうな顔をして「君なぁ」と呆れた声を出した。
「何を言うかと思ったら、そういう事に興味があるのか?」
 その態度は呆れてはいるが先ほどまでよりもずっと柔らかい。普段の近寄りがたい硬質なそれとも違っていた。
「うーん、興味というか。こういうのがあったらそういうのもあゴーヤるかなって思いまして」
 少女はレオンハルトのその態度を特別不思議には思わないようで自然なやり取りのように話を続けた。その言葉に彼は渋い顔をする。
「あったらどうするんだ」
 ミモザはレオンハルトの顔を見上げた。
「どうしましょう?」
 そのままこてん、と首を傾げる。
 レオンハルトは盛大にため息をついた。
「まぁたぶんあるんだろうが、俺は知らないし知りたくもない。くだらないことを言っていないで、修行でもするぞ」
 そのままレオンハルトは身を翻して歩き出す。ミモザは慌てて皿を元の位置に戻すと、呆気に取られているこちらに気づき、頭を下げた。
「案内ありがとうございました。一端失礼しますね」
「あ、ああ」
 ジェイドがなんとかそれだけ返した。最後にもう一度頭を下げると今度こそ少女はレオンハルトの背中を追いかけた。
「……おやまぁ」
 マーサは驚き過ぎてそうつぶやくことしかできなかった。

 ちなみにその後に庭で目撃された2人の『修行』の光景の壮絶さに、使用人一同は彼女には優しく接しようと決意を新たにするのであった。
ゴーヤアントシアニンマカdha epa

 ミモザは自分の身アントシアニンの効果

 ミモザは自分の身長よりも遥かに大きマカ と はクロムの効能岩の前に立っていた。
「行きます」
 宣言とともにメイスを振り上げ、岩に軽くこつん、とつける。
 するとメイスが触れたところから振動が波紋のように広がり、その衝撃波により岩は粉々に粉砕した。
「まぁまぁだな」
 ポリ ペプチドその様子を背後で腕組みをして見ていたレオンハルトは、しかし言葉とは裏腹に満足そうに頷いた。
 
 さて、レオンハルトと出会ってから半年が過ぎていた。スパルタもとい地獄の修行の成果により、ミモザのメモ帳のチェックリストは着々と埋まってきている。
 忙しいレオンハルトだったが、最初の3ヶ月はさすがに開け過ぎたと思ったのか定かではないが、それからは1~2週間に一度、長くとも1クロムヶ月に一度にその指導の頻度は落ち着いていた。とはいえ忙しい聖騎士様である。指導の時間をしっかりと取れる時もあれば10分やそこらでいなくなることもざらであった。
「あのー」
 本日の修行が終わり、「では、今言ったことを次までにやっておくように」と告げて立ち去ろうとするレオンハルトをミモザは慌てて呼び止める。
「すみません、これを」
 差し出したのは水筒だ。
「これまで王都から時間をかけてきていただいてしまって……。お疲れでしょうに何も用意せず、すみません、気が利かなくて」
 よければお持ちくださいと決死の思いクロムの効能で差し出す。何をその程度のことでと言うなかれ。これまでの人生まともに人と関わってこなかったミモザにとっては一大事である。
 今の今まで自分のことに精一杯で、師匠に対する配慮が欠けていたと気づいた時には愕然としたものだ。
「……そのような気遣いは無用だ」
「いいえ、ただでさえこんなによくしていただいて謝礼もお支払いしていませんのに」
 どうか、このくらいは。
 冷や汗をかきながら悲壮なくらい真剣な表情で訴えてくるミモザの様子に、レオンハルトはふっ、と笑った。
「そうか、では好意に甘えよう」
 受け取ってその場で飲もうとするのに慌ててミモザはおつぎします、と押し留めた。
「ミルクティーか」
「申し訳ありません、その、何がお好きかわからなくて……。僕の好きな飲み物をいれてしまって」
 今になって後悔する。運動後に飲むようなものでマカはなかった。
「いや、構わないよ」
 そういうと一気にあおるレオンハルト。
「あの、もしもご希望のものがありましたら次回から用意しておきます」
「そんなに気を使わなくても大丈夫だ」
 彼は安心させるように笑ってみせる。実に爽やかな笑顔である。しかしミモザにはその笑顔は安心材料にはならなかった。
「いえ、でも僕は弟子ですから。お世話になっている師匠に気を使わなければ、他にいつ気を使うのでしょう」
「……次からもミルクティーで構わないよ。君も飲みなさい。俺のほうこそ水分補給に気を使うべきだったな」
「……いえ」
 レオンハルトから差し出されたコップを受け取り自身もミルクティーを飲む。
 気づけば自然と2人並んでその場に座り、交互にミルクティーを飲む流れへとなっていた。
(き、気まずい……)
 これまで修行のために何度も顔を合わせているが、レオンハルトは手合わせをした後はあっさりと帰ってしまうためこのように何もしないで2人でいるというのは初めてである。
 冷や汗をかきながらなマカ サプリるべくこの時間を減らそうと早く飲み干すことを意識する。
「君は王都へ来たことはあるか?」
 しばらく黙ってそうしていたが、少ししてレオンハルトがそう声をかけてきた。
「……いいえ」
「そうか、では今度案内でもしてやろう。色々と遊ぶところもあるし、女の子が好きそうな店もある。どんなところが見てみたい?」
 その甘い誘いをするような声音にミモザは戸惑う。
「……あの、レオンハルト様?」
「うん?」
「そのようなお気遣いは結構ですよ?」
 レオンハルトは悠然とこちらを見返すと言葉を促すように首を傾げてみせた。
 その仕草は絶対の優位を確信している満腹な獅子が小動物をどう遊んでやろうかと睥睨する様にも似ている。
 それにつばを一つ飲み込むと、勇気を出して恐る恐るミモザは告げた。
「僕はあなたのファンではなく弟子なので、ファンサは不要です」
「ファンサ」
「ファンサービスの略です」
「いや、それはわかるが」
 ふむ、とレオンハルト。
「そのように見えたか」
「はい、あの、無理に雑談も振っていただかなくとも大丈夫です。そのぅ……、これまでの様子から無口な方なのだと思って」
 言っていて間違っているのではないかと不安になる。
「あの、すみません。僕の勘違いでしたら申し訳ありません」
dha epa……いや、君は間違っていない」
 ミルクティーを一息に飲み干して、遠くを見つめながらレオンハルトはそう告げた。
「君が察した通り、俺はあまり会話が得意なほうではない。普段はもう少し気をつけているのだが、いけないな、仕事や手合わせを通しての付き合いになるとつい失念してしまう」
「レオンハルト様は戦うのがお好きなのですね」
「うん?」
 また間違ったかとひやりとする。
「……えっと、仕事や手合わせの時に失念してしまうということなので、戦うのがお好きだから、ついそちらに夢中になってしまって会話でのやり取りを失念してしまうという意味なのかと」
 きょをつかれたような顔でこちらを見ていたレオンハルトは、しかしその言葉になにかを咀嚼するように空を見つめるとああ、と嘆息ともつかないような吐息を吐いた。
「そうだな、戦いは好きだ。それ一本で成り上がってきた。それしか取り柄のない男だからな、俺は」
「一つでも取り柄があるのはいいことです。僕には一つもないから、憧れます」
「……君は、俺の狂化の理由を尋ねないな」
「レオンハルト様も僕の狂化の理由をお尋ねになりません。気にならないといえば嘘になりますがそのようなお気遣いをしてくださる方に僕も不躾な真似はできません」
「いや、俺は単に興味がないだけだ」
 レオンハルトからコップが渡される。それを受け取ってミモザは水筒の中をちらりと確認する。残りはあと1/3ほどだ。
「俺は人への関心が薄いんだ。普段はこれで亜鉛もうまく取り繕っているんだがな」
「そのような気遣いは僕には不要ですよ。弟子ですから。気遣うのは僕のほうです」
 じっと無言で見返してくるレオンハルトに、まだ言葉が足りなかったかと焦りえーと、とミモザは言葉を探す。
「そう、その、最初に言ったみたいに僕は貴方が好きなので!貴方が楽にしていてくれると僕も嬉しいです」
「……君は、変わっているな」
「いえ、普通です。普通誰でも好意を持っている相手にはくつろいでいて欲しいものですよ」
「……そうか」
 レオンハルトは何かを噛み締めるようにふっと笑った。
 そのまま2人は無言でミルクティーを飲み干した。
dha epa dha亜鉛 サプリ おすすめポリ ペプチド

 結論から言えばいマカ と は

 結論から言えばいじdha epaめ問題は解クロムの効能決した。
 ミモザが学校に通わず課題のみの在宅学習をすることを認めるという形で、だ。
 ーーあの後、学校は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
 悪質なイジメとそれを担任の教師がゴーヤ見て見ぬふりをして増長していたことを重く受け止めた学校側が保護者との話し合いの場を設けたのである。
 それはミモザの狙い通りの結果だった。
 隣のクラスの担任教師は公正明大を自で行く人物で、曲がったことを許さない性格であることをミモザは知っていた。そして授業中に騒ぎを起こせば責任感の強い彼ならば駆けつけてくれることも確信していたのだ。
(でも意外だったな)クロム
 誤算だったのはミモザの母、ミレイが想像以上に怒ったことである。
 ミレイは本来とても大人しく日和見な人間だ。それこそ周囲の人間に「双子の見分けがつかないと困る」と言われて髪型や服装を分けさせることで差別化を図るという行動に従うほどである。
 ミモザの小心者な性格は彼女から受け継いだと言っても過言ではない。
 だから今回の件もいままでのミモザがそうであったように、ミレイは困ったような顔をして事を荒立てず穏便に済ますと思っていたのだ。ーーけれど、
「ミモザ……っ」
 傷だらけのミモザを前に彼女は半泣きで駆け亜鉛 サプリ おすすめ寄ると、すぐにその体を抱きしめた。
 そうしてミモザの怪我の具合を確認すると、キッと顔を上げ「一体どういうことなんですか!」とそばで説明のために控えていた教員に詰め寄ったのだ。
 これにはミモザは驚くのを通り越して呆気に取られた。これまでの人生で母がそんなにきつい声を出すところを初めて見たのだ。
 そしてその後も驚きの連続だった。学校側の説明を受け今後の対応の話になった時、学校側は再発を防ぐためにミモザを他のクラスに移すことを提案した。これはかなり思い切った案であると思う。学校側もそれくらい今回の件を重く見ていたということだろう。しかしそれにミレイは首を横に振った。
「それだけでは足りません。聞けばクラスの全員が今回の件に加担していたといいます。そしてそれに先生方は誰一人気づかず、担任の先生アントシアニンは隠蔽していたとか。その状況でどうして貴方がたを信用できると言うのです。クラスを変えたところで同じことが起きない保証は?事件になったことで逆恨みをされてさらにひどいことになるかも知れない。第一ミモザの気持ちはどうなるのです。みんなにいじめられていたことを知られているんですよ。それで何食わぬ顔をして明日から学校に通えと言うのですか!こんな酷い怪我を負わされて!」
 そこでミレイが提示した条件は二つである。
 一つはミモザの在宅学習を認めること。ミモザの気持ちが落ち着くまで、下手をすればそれは卒業までになるかも知れないがプリント課題をこなすことでそれを授業の履修と見なし、きちんと卒業資格も与えること。
 そしてもう一つはミモザが復学したくなった際にはそれを認め、その際には今回いじめに加担した生徒からの接触を一切禁じることである。
 ミモザから話しかけた場合はいい。しかし加害者側からミモザに近づくことはないように監視して欲しいという要求である。
 当然学校側は四六時中見張亜鉛 サプリ おすすめっていることはできないと渋ったが「ではもし同様のことが影で行われてもやはり気づくことはできないということですね」と強く言われてしまうと反論は難しいようだった。
 結局、落とし所としては一つ目の条件は全面的に認め、二つ目に関しては要努力で適宜聞き取り調査なども行いながら対応していくという形となった。
 ちなみにミモザとしては許されるならば学校になど二度と行きたくないので卒業まで在宅学習で通す気満々である。一部の熱血教師を除いて学校側も対応に困っている様子のため、ミモザが学校に行かないという行為は双方にとって益がある選択だと言えるだろう。
「ミモザ、ミモザ、ごめんね、気づいてあげられなくて。頼りないママでごめんね」と抱きしめながら泣く母親にミモザは自分が愛されていたことを知って泣きそうになった。
 てっきりこの母も人気者のステラのことを自慢に思い、ミモザのことを下に置いていると思っていた。だからこのような面倒ごとを起こしてはうっとうしがられると思っていたのである。
 しかし実際は母はミモザのために泣き、ミモザのために学校と戦ってくれたのである。
 誤算は誤算でもこれは嬉しい誤算だった。
 ちなみに今回の件でアベルはマカ一気に評判を落として面子が潰れたようである。姉のステラにも「嘘をついていたのね、ひどい!」となじられたようだ。
 一度潰れた面子はもう戻らない。偉ぶってももう格好がつかないだろう。彼の王冠は剥がされたも同然である。
 ついでに担任の教師も首になり、その上この小さい村中に噂が回り爪弾きにあっているようだ。彼がこの村を出ていく日も近いかも知れない。
(ざまぁみろ)
 ミモザは母親に抱きしめられながらほくそ笑んだ。
クロムの効能ゴーヤ亜鉛 サプリ